2013/01/24

BAAN PHET PHIN THONG ②



本日はペッ・ピン・トーン楽団の興行に使う車の話をしたいと思う。『職能としての音楽』の中には「NHKホールのステージほどの舞台を乗せてそのまま移動できる超大型トレーラーが駐車している」と書いてある。今回の訪問で家の駐車場に停まっていたのは写真のトレーラーが2台と、マイクロバスが1台、自家用車が3台だった。写真のトレーラーも大きいが舞台を乗せたまま移動できるほど大きくない。現在ペッ・ピン・トーンは大掛かりな興行をしていないので星野龍夫先生が見た超大型トレーラーは売られたのだと思う。そして自家用車の3台は80年代のベンツが2台と新車のトヨタが1台だ。ブランド車が大興行主と言う事を物語っている。その中のベンツのスポーツカーを見てはっとした。アメリカの雰囲気を何故かイサーンで感じたのだ。この場所は車だけでなく、家の中の装飾、家具にどこか80年代のハリウッドの雰囲気を感じる。いてもたってもいられなくなってその事をノバドルにたずねたら「アメリカ映画や音楽が小さいときから大好きだったよ。野外映画でよくみたなあ。」と懐かしそうに話してくれた。ノバドルはアメリカの娯楽映画に大変影響をうけたとも語った。成功した興行主だったからこそお金を使いアメリカの雰囲気を味わう生活がイサーンでできたのだ。70年代中期以降のラム・プルーンにおいてアメリカ音楽の影響は計り知れないものがある。ノバドルもその一人で楽曲やステージにおいてアメリカ文化をイサーン風にアレンジしていたのだと思った。
写真のトレーラーだけでなく車、家具、家電、音響設備などにペッ・ピン・トーンのロゴが入っていた。ペンキで書かれているのもあるし、シールを貼ってあるものもある。どこの興行主もそうだと思うが自分の楽団のブランドを高めてオリジナリティをアピールしたいのだろう。そんなペッ・ピン・トーン・ロゴがついているものを何でも無邪気に写真を撮りながらジャマイカのサウンド・クラッシュと同じだなあと考えていた。
次につづく。