2013/10/30

TRIP TO ISAN VOL.5



『イサーンの小さな町のボーコーソー(バスターミナル)の話。』

SOI48はボーコーソーが大好きだ。ボーコーソーの周りを囲うように商店が立ち並び、屋台があり、セブンイレブンがある。ベンチに座ってテレビを見ている人、通勤・通学にバスを待つ人、旅行者、ガイヤーン売りのおばちゃん、客引きなど早朝から深夜まで賑やかだ。一見どこの土地でも同じように見えるがその土地によって特徴があり、それをのんびり探すのが楽しい。ボーコーソー見物しながら写真を撮っているとバスやサムローの客引きが現れて、

「どこ行くの?何しているの?」

と尋ねてくる。こちらはお決まりのセリフで返す。

「レコードを探しているのですが持っていますか?」
「レコード!?」

手に持っているレコードを見せる。

「おーこれか、懐かしいなあ~。しかもモーラム。」
「お前ら持っているか~。」

客引きが大声で叫んで手招きするとトゥクトゥクやサムローの運転手から屋台のおばちゃんまで大集合。レコードを探しにイサーンに来る物好きなどいないから、大概ちょっとした騒ぎになる。

「懐かしい。」
「売っている店!? 確かあそこに・・・。」
「~は確か家に持っていたぞ。」

などなど様々な反応が返ってくる。そして必ず言われるのが、

「今すぐ聞きたい。」

「これで聞けますよ。」

と、ポータブル・プレーヤーを取り出し地面に置くと

「おー。」

と嬉しいリアクションが返ってくる。ポータブル・プレーヤーの使用用途は試聴だけではないのだ。イサーン人と触れ合う時にも役に立つ。この時かけるレコードはスパンブリーならワイポット、ヤソートーンならダオ・バンドンといった具合にその土地出身の歌手を選ぶ。針をのせレコードが回りだしたら反応は様々。聞き入る人、歌詞を聴いて笑う人、踊りだす人もいる。そして歌手の友達と名乗る人や家を知っているという人も出てくる。レコードが手に入らなくても様々な情報が手に入る。ボーコーソーにいる人達が先生になってくれるのだ。
今回のイサーン旅行では、モーラムの核心というべき一言をファンキーなピーナッツ売りのおばちゃんに言われてしまった。

「音が小さい! 」
「これじゃあ踊れないし、つまらない。誰かスピーカー持ってきてっ」

と笑顔で怒りながらまわりの男達に命令。しかし、腰と手を動かしていた。周りの野次馬も大笑い。その通りだ。音が小さいとつまらないし、やっぱりモーラムは低音の割れた大きなスピーカーで聞きたい。次この町を訪れたら大音量でリベンジして、ピーナッツ売りのおばちゃんを踊り狂わせたい。またイサーンに行く用事が一つ増えてしまった。